南極の赤雪
今年の冬は、滋賀県は東近江市にある探検の殿堂でも、ほとんど積雪が見られませんでした。暖冬なのか、地球温暖化なのか…、南極で史上初となる20度越えを観測したというニュースに驚かれ方も多いのではないでしょうか?
▼朝日新聞さんの記事
南極で史上初の気温20度超 研究者「信じがたく異常」
さらに、2月下旬には下のようなニュースも。
ニューヨークポストさんのツイッターですが、南極の雪原が赤く染まっています!
いつもの南極を知っていると、どうしても異様な感じがします。
これはウクライナのアカデーミク・ヴェルナツキー南極基地で撮影された写真。
ウクライナのヴェルナツキー観測基地は、南極に西に位置します。
↑南極の建築技術を支えてきたミサワホームさんが公開されている南極地図を参考にして作りました
今回、観測史上最高気温を記録したのは、ヴェルナツギー基地が位置する南極西部の地域だそうです。南極大陸は広大で、場所によって気温の差が大きいので、南極大陸全体が20度越えを記録したわけではありません。日本の基地群とはめちゃくちゃ離れていて、昭和基地とは、だいたい日本二つ分強くらいは距離があるでしょうか。
真っ赤に染まったヴェルナツギー基地ですが、スプラッターな出来事が起きたわけではありません。
「赤雪(あかゆき)」という、
赤い色素を持った藻類(植物)が大繁殖することで、写真のように雪の表面が赤く染まっているように見える現象なのです。
藻類自体はそれほど珍しいものではないそうで、南極や北極でも存在が確認されていました。
(ちなみに、2005年には滋賀県の伊吹山でも発見されています。発見者は滋賀県の八日市地区の女子中学生だそうで、国内で2例目の事例だったとか)
クラミドモナス・二バリスと呼ばれるこの藻類は、赤い色素を持ち、強い紫外線から身を守りながら、氷河のような低温環境に潜みます。そして気温が高くなって氷が水に溶けたところで繁殖し、白い雪原や氷河を赤く染めるそうです。2015年にも南極で、数百平方メートルにわたって赤雪が観測されています。
英語では、ほのかにスイカのかほりがするということで、
「スイカ雪」watermelon snow とも呼ばれるみたいです。へぇ〜
赤雪の困ったところは、ただ雪や氷を赤くそめるだけでなく、大繁殖することで雪原や氷河が太陽光を吸収しやすくなって、氷河や氷床が溶けやすくなる一因になるやもしれない…というところ。
私たちが、のんきにスタッドレスタイヤの消耗を心配していた2月に、南極、いや世界では大変なことが起きているみたいです。
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