探検の殿堂では9月に、スウェーデンとのオンライン国際交流を予定しています。交流のテーマは「植物」と「お互いの文化」。9月の本番に向けて、東近江市の植物について学ぶためのフィールドワークの第1回目が6月26日(日)に開催されました。
その様子の一部をご紹介します。
第一回目では、東近江市の奥永源寺にある政所を探検しました。
政所では、古くから茶畑が栽培されており、ここで採れたお茶は「政所茶」と呼ばれます。
実は、日本で一番最初にお茶の木が植えられたのは滋賀県とも伝えられているのをご存じでしょうか。政所でお茶の栽培が始まったのは室町時代だそうなので、めちゃくちゃ歴史のある茶所なのです。幕府や朝廷などに献上されるほど上等なお茶だったそうです。有名な「宇治は茶所♪ 茶は政所♪」という茶摘み唄にも登場します。
見学させたいただいた茶畑。たくさんの人が茶畑に踏みいると、地面が固くなってしまってお茶の木に良くないそうです。なので、子どもたちが見学してもよい場所を特別に見学させてもらいました。
政所茶は、化学肥料を使わない・完全無農薬で栽培されています。昔ながらの方法で育てられているお茶畑には、どんな特徴があるのか。どんな自然環境の中で育てられているのかを確かめます。
山形蓮さんにお話を聞いてます。
地域おこし協力隊として政所にやってきた山形さんは、協力隊退任後の現在も政所にお住まいです。生まれて5か月くらいの娘さんと一緒に、子どもたちに政所茶のお話を聞かせてくださいました。お忙しい中、本当にありがとうございました。
特別に新茶を摘んで、食べさせてもらいました。
お茶の木の先端の部分に生えている部分。これを一芯二葉と呼びます。お茶の最高級品はこの部分からのみ作られるのだとか。お味のほうは……
めちゃくちゃ苦い!!
大人でも目が覚める苦みです。
「苦いよ~!苦い!」と言いながらお茶で流し込みながら何回も新芽を食べる子がいました。クセになったのかしら
お茶だけでなく天ぷらなどにしても食べるそうです。
お茶の木の周辺の写真です。
政所茶の特徴の一つは、「在来種」の栽培。別の場所から買ってくるなどした茶の木を栽培しているのではなく、昔から政所に生えているお茶の木だけを代々大切に育ててらっしゃいます。中には、300歳近い年齢の茶の木もあるとか!新旧で味の違いがあるのかを聞いたら、若い茶の木は味がはっきりしていて、年を重ねたお茶はマイルドな味になるそうです。
昔ながらの栽培方法を守っているので、化学薬品を使った虫よけスプレーも使用禁止なのです。そこまで徹底した管理のもとで生産されているなんて全く知りませんでした。
政所を流れている御池川の近くでお昼ご飯を食べたのですが…
この御池川がめちゃくちゃ綺麗なんです!驚きの水の透明度。水辺にはオタマジャクシや川魚の稚魚がたくさんいました。最初は長靴のまま川に入っていた子たちも、いつのまにか裸足になって楽しんでました。いいなー、羨ましい!!!!こういうところで仕事がしたい。
お昼休憩後は、政所の川上さんご夫妻のご自宅にお邪魔しました。
同じ政所でも、お茶の木の生えている環境は様々です。
お茶の中には、わざと日光を遮って栽培されるものがあります。遮光して育てられたお茶はいわゆる「玉露」といい、甘みとコクのある味わいになるとか。玉露を作るためにわざわざ茶畑に日よけを設置しているところもあるそうなんですが、川上さんの茶畑は山のキツイ斜面にあるので、あまり茶畑に日が差しません。自然と美味しいお茶になる半面、お茶の木の栄養となる落ち葉やススキを背負って、傾斜のきつい山を登らなければならないので、大変な作業となります。
同じお茶の木の茶葉から、煎茶や番茶、紅茶などの様々な種類のお茶が作られます。三種類のお茶を飲み比べまでさせていただきました。
こちらは水出しのお茶。一晩じっくり水出ししたお茶で、すっきりとした飲み口ながらも風味を感じられるさわやかさで夏にぴったり。
渋みのあとに甘みがひろがる大人向けの味。こちらは60度のお湯で淹れられたもの。
こちらは政所のお茶で作られた紅茶です。味がしっかりしていて、風味が独特です。
同じお茶の木の葉なのに、加工方法や淹れ方の違いでここまで味に違いが出ることが不思議。
お茶の葉を使ったお茶菓子(あられとお団子)もいただきました。あられの方も、しっかりとお茶の風味を感じます。
特別に川上さん宅の井戸水を汲ませてもらいました。このお水がめちゃくちゃ透明ですごく美味しい!!子どもたちも驚いてました。実は政所のお茶の美味しさの秘密はこのお水にもあるそうです。お茶の美味しさというと、ついついお茶の葉だけ気にしてしまうんですが、「どんな水で淹れるか」も同じくらい影響するようです。
おいしいお茶の淹れ方も教えてもらいました。まずお湯を別の容器に注いで60度になるまで待つ。そのお湯を急須に注いだ後に3分間まったら、湯呑に注ぎます。一気に一つの湯呑に注ぐのではなく、全体に少しづつお茶を注いでいくことで、味の濃さが一定になっておいしいお茶になるそうです。
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参加者の子どもたちには、フィールドワークで学んだ内容を自分なりの形にしてもらいます。それをスウェーデンの子供たちに向けてオンラインで発表するのですが、一体どんなものが出来るのか・あちらの子供たちはどんなものを作ってくるのかが今から楽しみです。