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Posted by 滋賀咲くブログ at

未踏の山を登る 『残照のヤルン・カン』感想文

登山01

登山02

上田豊(あげた ゆたか)さんが書かれた『残照のヤルン・カン』を読んで
私が感じたことをマンガにしてみました。
私はこれまで登山というものに懐疑的だったのですが、『残照のヤルン・カン』を読んで
未踏の山への挑戦がもつ意味が少しだけ分かったような気がします。

マンガでは山としていますが、だれも足を踏み入れたことのない場所への挑戦は
そのまま人生のあらゆる選択や挑戦に置き換えることができるのかもしれません。

※注意※
あくまで個人の感想であり、『残照のヤルン・カン』の内容をマンガにしたものではありません。
実際の登山には、入念な準備や一緒に登る仲間が必要です。




『残照のヤルン・カン』は、1973年5月に京都大学学士山岳会(AACK =The Academic Alpine Club of Kyoto)の登山隊が、ヤルン・カン(8505メートル)へ挑戦する様子を描いた作品です。
ヤルン・カンはネパールにあり、当時世界最高の未踏峰として残されていた山でした。
作者は、登山隊の一員として参加し、ヤルン・カン登頂を果たした上田豊(あげた ゆたか)さんです。
上田さんは当時29歳、
名古屋大学大学院の理学研究科学生として氷河を研究し、南極観測隊に加わって越冬された経験もあった青年でした。

『残照のヤルン・カン』では、彼の目線を通して、ヤルン・カン登頂計画の立ち上がりから日本での準備、シェルパやポーターといった現地人との触れあいや隊員が行った学術調査、そして登頂から下山にいたるまでが描かれています。

余計な飾り気もなく明快に書かれた文章は分かりやすく、「以前の登山の時にベテランメンバーの中で若い自分が役立てたことが嬉しかった」などの彼の感情がとても素直に伝わり、読んでいる自分まで嬉しくなりました。

『残照のヤルン・カン』が探検の殿堂に一体何の関係があるのだ…とお思いの方。
実はヤルン・カン登山隊に、当時70歳(!?)の西堀榮三郎さんが隊長として参加されていたのです。隊員の年齢は22~43歳(隊員発表当時)でした。
西堀さん自身は酸素補給なしで高度5210メートルに設営されたベース・キャンプまでの登頂を果たされています。(ちなみに富士山は3776メートル)

隊員を選出する際、「若手にチャンスを与えるべき」と辞退された方もいたそうです。
上田さんご自身も、西堀さんがベース・キャンプを去る前日に行った無線機での放送を聞くまで「わたしは、隊長が無理をしてベース・キャンプまで来ることの意味をあまり考えてなかった」と書かれています。

それでも西堀さんは隊長として登山隊に参加し、ベース・キャンプまで登った。

自分がここまで登れたのだから、君たちもヤルンカンに登頂できるよう頑張ってください、とみんなを激励した。

そうした西堀さんの姿勢と言葉は、現代を生きる私たちにも学ぶべきところがあると思いました。

『残照のヤルン・カン』おすすめの一冊です!
  


2018年05月18日 Posted by 実はシロクマ派 at 12:45マンガ・イラスト